第115章 夏の大三角(16)大会編
ニッコリ笑った私。
すると、先輩はピンと指を顔の横に立て、君!石田三成くんだよね?今度は、私の名前が当てられる番に。
「二年生に天使みたいに笑う男の子がいるって!私も噂で聞いたよ!」
「……天使?ですか?」
「うん!皆んなが、最高の癒し笑顔だって!言ってて!嬉しいなぁ〜こんな間近で見れてっ」
まさに!エンジェルスマイルだね!
先輩は嬉しそうな声色で、私の笑顔を「これからそう呼ばせて貰おうかな?」と、茶目っ気に笑った後。何かを思い出したように勢い良く立ち上がり、辺りをキョロキョロと見渡す。
そう言えば声を掛けられた時に、君も?と聞かれたことを思い出し……もしかして、誰か探しているのですか?と、尋ねれば歯を見せて、気まずそうにコクリと先輩は頷く。
「先生に頼まれて、サボり常習犯を探しに来たんだけど……。何処にもいなくて。春先になると、眠いとかダルいとか言ってね……」
絶対!どっかで居眠りしてる!
何ででしょうか?口を尖らせる姿までも、可愛らしく見えてしまう。
「もしかして、家康先輩のことですか?」
ここに来る前に、目撃した人影。
風に揺れる金色の髪。
「え!?家康のことも知ってるの!?」
「塾が同じなもので。家康先輩なら、体育館の方に歩いて行かれるのを、見ました」
先輩は体育館はノーマークだったと、
ポツリ呟き、頭を捻り眉を寄せた。
「家康先輩とは、仲が宜しいのですか?」
「私と家康は幼馴染なんだ!小ちゃい頃から、ずっと一緒にいるから」
その言葉を聞いた瞬間。
(そうでした……)
徳川家康。
姫宮ひまり。
お二人は……。