第114章 夏の大三角(15)大会編
「三巡目はじめ!」
矢をつがい。
振り返る二人と目で合図。
(((決める!!)))
先手チームはまたしても的中数、二射。
優勝するには、
三人がこの矢を必ず決めないと。
プレッシャーが、
いつの間にか良い緊張感に変わって。
大前のゆっちゃんが、
__パァーン!!
一本目。
副部長に繋ぐ……。
そして中の副部長が……
__パーーンッ!!
二本目。
私に繋いでくれる。
会場の静寂な空気。
今は嘘みたいに心地よくて、
心が澄み切ったみたいに……
的に、集中出来る。
(二人が繋いでくれた想い……)
絶対に、届ける!!
一つ前の試合で、集中しようと思えばそう思うほど、全然集中出来なくて頬払いまでしたのに。
(あの弦音を鳴らしたい)
トクトク……
緊張してドキドキするのとは、違う意味で心臓が早鐘をうっている。
背中に感じる視線。
鳴り止まない胸の鼓動を、
一瞬だけ呼吸と一緒に止めて。
気づいたら私の手は、
自然に離れ……
弓から放たれた矢は、
二人が繋いでくれた想い。
そして私の想いを乗せて、真っ直ぐ的に向かって飛んで行った。
「勝者!戦国学園!!」
大きな拍手と、
包まれた大歓声の中。
解き放たれた緊張感。
喜びと安心感。
一気に押し寄せた感情に抱き合い、泣きじゃくる私達。
副部長が何度も何度も、
「ありがと……っ。ほんと…にあ、りがと…っ」
表彰台に上がる寸前まで、ゆっちゃんと私に、そう言ってくれて……。
ホームページに載る、
大会結果報告の写真。
きっと凄い顔してるよ!って、
最後は笑った。