第114章 夏の大三角(15)大会編
歓声の音が会場に響く。
そして暫くすると、白の弓道着に袴姿の私達が射場に現れると、辺りが静まり返る。
得点が同じで延長戦になった今、
競射で勝敗が決まる。
矢は一人、二本(一手)
三人立ちで、計、六射。
先手チームの一巡目。
三射中、二射を決めた。
二射外したら、負けが確定。
三射決めたら、優勝が決定する。
同点で二巡目に。
まず一本目。
大前のゆっちゃんが弓を引き、
スパァーンッ!
見事に的に命中。
そして次は中の、副部長。
私はその背中を見つめる。
弓道歴は中学から六年間。そう、前に教えてくれた。戦国学園に入学したのは、大好きな弓道の歴史が、この学校には沢山詰まってるからかな?って……はにかむ姿が、今でも脳裏に浮かぶ。
(あれ……?肩が少し下がって……っ!!)
副部長が弓を引いた瞬間の違和感。
シュッ……
風を切って……
弦音が……
いつもと違う!!
的から外れた矢は、乾いた音を立てた。
「う……そ……」
私とゆっちゃんにしか
聴こえない呟き。
今日、皆中だった副部長が……
初めて的を外した。