第114章 夏の大三角(15)大会編
男子の団体戦が、
行われていた競技場。
優勝争いを予想された春日山高校が、予選で棄権していた為。圧勝で、優勝を手にした三人。軽く汗ばんだ身体を控え室で吹き、他の部員から、女子が決勝戦まで足を進めたことを知った。
「メールしといてやるか」
「私はもう既に入れました」
「…………」
携帯を荷物の中に仕舞い、いそいそと荷物をまとめ出す三成の隣で、携帯画面を凝視する家康。
(頑張れ?緊張するな?とか……)
ひまりに送る内容を、表情には全く浮かべず悩んでいた。
反対側に座り、同じように携帯を弄っていた政宗がそれに気づき、肩を叩く。
そんなに悩むことか?と茶化され、別に。と家康は答えると、パッパッと指をスライドさせ、携帯の画面を消す。
そして、ギロリと三成に視線を投げかけた。
「……試合終わった途端。熱い視線を送るのは、やめて頂けませんか?」
「へぇ……。三成にはこの冷たい視線が熱く感じるワケ?」
皮肉たっぷりに家康は言う。
しかし、三成は痛くも痒くも無いような態度で振る舞い、
「私は常に、前向きを心掛けていますので。勿論、想いを告げた後のひまり先輩の返事もです」
「……チッ。玉砕するの祈ってあげる」
舌打ちを聞いて、
満面の笑みを浮かべた。
昨晩、ひまりの部屋に居た家康は、大会終了後、三成が告白することを知っている。
試合終了直後、いや、試合前から家康が不機嫌な理由が、それ。試合中は何事もなく済ましていたが、一度休憩に入ればこんなやり取りが続けられていた。
なるほど。
政宗も朝から二人のやり取りを散々聞き、ピンと、閃く。そして、会話の流れ着く先を掴んだ。