第112章 『happeningな一日』
ハッとして口を塞ぐ。
『せ、せ、せ先輩!!///』
右側の耳から三成くんが、おたおたする声。
「ひまりのケーキ。美味しい」
左側の耳に柔らかくて鼻にかかるような、家康の声。
や、やめて。
塞いでた手を離して、
声には出さず口パクで訴えるけど……
む、り。
口パクでそう返事をされ、家康は躊躇いもなく生クリームを……
頬に、肩に、さっきより際どい胸元に付けていく。
肩越しに見えたケーキ。
もう、スポンジと苺が一つ乗ってるだけになってて……
頂きます。
口パクでそう言った後、
家康の苺みたいな真っ赤な舌が動く。
「み、三成くん!あ、明日!ちゃんと聞くね!だから……っ!」
急いで逃げないと!
身の危険を察知して電話を切ろうとした時、伸びてきた腕……
その素早い動作に私は反応が遅れ、呆気なく携帯を奪われてしまう。
「今から、ひまり(のケーキ)食べるから邪魔しないでよ」
「ちょっと……っ!み、三成くんケーキの話で!!」
プープッー
切れてる。
しかも、
ペロッ。
全く私の困惑なんか無視して、
「んっ……」
頬っぺた。
「あっ……」
次は肩を舐められ……
「ここが一番……」
胸元に顔を埋めるのを見て、
「もう!ばかーーっ///食べちゃだめーーっ!///」
ジタバタ暴れてクッションで思いっきり叩くと、
「勿体無い事するとバチが当たるって、習わなかった?」
自分で塗っておきながら、平然と理屈を言ってキャミソールを引っ張ってくる。
揉み合いしていると、
視線の先に
カサカサ……ッ!
「きやぁあ!」
本日、二回目のご対面。
「暴れてると余計に…って!///」
また、家康をベットに押し倒して。
「ひまり!!」
物音と悲鳴を聞きつけたお父さん。
家康の上に跨る私を見て、
「俺の娘が襲う方にーーっ!
母さんーーっ!!」
ハプニング続きの一日。
最後は、泣きじゃくるお父さんで幕は閉じた。
happeningな一日(完)