第112章 『happeningな一日』
シュンと肩を下げた後ろ姿。
ひまりは、待ってるね。
それだけ言って玄関扉を開き、無理に笑顔を作った。
(……あえて、普通にしてた方が)
ひまりの為には良いかも。
無駄に強がって見てらんないけど、ああ言う時は甘えてくるまで待つのが一番。
ーー個人戦はダメだったけど、団体戦は頑張る!予選通過お祝いしようね!
俺の予選通過。
バカみたいに喜んでたし。
ってか、あの様子だと忘れてる。
俺と上杉謙信の賭け。
まぁ…絶対勝つから良いけど。
キャンプの時にした手首の怪我。
とっくに治って、
ーー新月のおまじない効いたかな?
ひまりのお陰でって事に、しといてあげたけど。
俺は部活カバンを肩に掛けなおし、着替えを済ましてからひまりの家に向かう。
「いらっしゃい。この前は助かったわ〜今日は遠慮なんかしないで、沢山食べて行ってね」
「お邪魔します」
玄関で迎えてくれたおばさんに、俺は旅行の土産の礼を伝え、家の中に上り込む。
案内されたリビングに、
ひまりの姿はなく尋ねると、
「あの子、ケーキ作るって張り切って割にまだ降りて来なくて。ちょっと様子見てきて貰える?」
そう頼まれ、おばさんが近所に回覧板を置きに行くのと同時に俺はひまりの部屋に向かい、軽くノックをする。
返事はなし。
探し物でもしているのか、中からバタバタする音が扉越しに聞こえ……
ドアノブを横に回す。
「ひまり、入るよ」
軽く声を掛けて、
部屋に入った……
瞬間。
自分の目を疑う。
「きやぁぁぁ!」
一瞬、俺に驚いて上げたと思った悲鳴。
「なっ!///」
下着姿で抱き着かれ、完全に頭が動転した。