第110章 『図書館青春』
静まり返った図書館。
気づいたら二人だけに……
オレンジ色の夕日が沈むまでに…
時々、肩がぶつかって。
パッと離れて。
時々、目が合って。
バッと逸らして。
時々、胸が騒がしかったけど。
ドキッ。
何とか、一通り勉強を終えて……
次に受けた模試の結果が、
目に見えて上がった。
私は嬉しくて、
その年のバレンタイン。
他のみんなには、クッキー。
約束通り、
「はい!家康専用!特別チョコだよ!」
チョコをあげたのは家康だけ。
「お返し何が良い?」
「え?いいよ。そんなの」
って、言っても。
いつも、ちゃんとお返しくれる。
「中学最後だし。俺も特別貰ったから、リクエスト聞いてあげる」
私は、少しだけ考えて……
中学最後。
その言葉にあるモノが浮かんだ。
「なら、第二ボタン欲しい!」
高校生になった今でも、私の宝物。
図書館青春(完)