第16章 卯の花月(4)
女の子にとって、四月は辛い日が待っている。
春の甘い誘惑。スイーツは色んな新商品が発売されるし、花見でしょ?イチゴ狩りに、気候も良いからピクニック行ったりなんかして……
体重が増加しやすい時期。
それなのに……
「次、姫宮」
(身体測定なんて、やだーー!!)
明智先生に名前を呼ばれ、私は返事をして渋々保健室の中に入る。
回転椅子でくるりと後ろを向き、計測表を持って先生は身長計の前まで移動すると、
さっさと来い。
私に向ける目は明らかにそう言ってる。
「お願いします……」
私は少しでも身長が誤魔化したくて、必死に背筋を伸ばす。
けど、その努力も虚しく一ミリも伸びてない背。
「……153。相変わらず、チビだな」
「平均です!」
「日本の女の平均は158だ。後、5センチ伸びてから言え」
………あー言えばこー言う。
まさに明智先生はそんな感じ。
次、体重と言われ。
自分で書くから見ないで下さいと頼むけど、保健教員に隠しても仕方ないと言われ……。
(昨日食べたケーキが、どっかに消えてますように!)
祈るように体重計に乗った私。
電子の数字がピッピと数回音を立て、止まる。
……やっぱり。ケーキ消えてない。
「……43。お前、この体重で気にする必要がどこにあるんだ?」
一昨日までは42キロだったんです!必死の訴えも虚しく、明智先生はスラスラと私の計測表に数字を書き込む。
女の子にとって1キロがどれだけ重要か。