第107章 『貴方は私のbodyguard???』前編
時刻は午後、八時前。
耳からヘッドフォンを取り、
肩を軽く回して伸びをする。
風呂上がりの髪をタオルで荒く拭き取り、携帯とさっきまでやってた予備校の課題。それだけ持って部屋から出た。
階段降りて、リビングで呑気に鼻歌歌う母親に行ってくるとだけ伝え。
玄関を出る。
ひまりの母親にボディーガード頼まれたのは、三日間。
合宿帰ってきて早々。
ーー家康くんが居てくれたら、助かるわ〜!あの子、ほんと警戒心少ないから。
普段からボッーとしてるひまり。
夏は長期不在の家とか多い分。
治安の比較的良いこの住宅街でも、被害は増える。
強盗、ストーカー、不審者。
そんなの自分は大丈夫とか言って、遠慮するだろうから、直前まで内緒にして欲しいと頼まれた。だから、ひまりは俺が今から行くの知らない。
海外旅行に行ってる間、年頃の娘を一人留守番をさせるのは流石に物騒だから。夜だけでも寝泊まりして貰えないかと、頼まれたのは全然良いけど。
最初は夜だけだし、
俺には願っても無い申し出。
即返事したまでは良いけど。
熱い。
夏真っ盛りの熱帯夜。
やばい。
違う意味でも熱いし。
(俺、自信ないかも……)
風呂上がりのひまりとか、見たら。
ボディーガードの俺が
一番やばい存在に。
俺の敵は確実に、自分自身。
多分、三日間。
まともに寝れない。
ピンポーン。
ガチャ!
インタホン鳴らして、数秒で玄関開けるひまり。ほんとバカ。
「はい?どちら様…って!え!」」
家康!何で!
「画面で誰か確認。出来ないわ……」
……け。
「ん?どうしたの??」
俺が聞きたい。
何でいきなり……
(何て格好して……っ///)
キャミに短パン。
極め付けに雫を垂らす髪。
お年頃の俺には十分、刺激が強い。
ゴンッ!
顔を背けた瞬間。
玄関扉に頭を強打。
「え!?だ、大丈夫!?」
「な、中で説明するから。……入るよ」
必死に取り繕う自分。
理性と本能。
俺の戦いがはじまった。