第15章 卯の花月(3)
次の日の朝、ちゃんと有言実行。
アラーム止め、半分寝ぼけたまま家康のアドレスを出してコールを鳴らす。
プルルッ……プッ。
「おはよ」
「ん〜…おはよぉ〜い、えやす」
「………やばい。ハマるかも」
あれ?
まだ、ワンコールしか鳴らしてないのに。起きてたのかな?
ぼんやりとした意識の中、まだ目を閉じて半分ぐらい夢の中の私。
枕に顔を埋め、耳の横に携帯を立てる。
はまる?
「なぁ……にが……?」
「……教えない。……嘘」
家康の声。
いつもより優しい気がする。
教えてあげるから、もっと耳を寄せるように言われて……
手でしっかりと携帯を持つ。
「ひまりの寝起きの声……」
「ん〜……わたしの、こえ?」
「甘えてるみたいで……」
「う、ん……?」
一瞬の間があった後。
「………やばいぐらい、可愛くてハマりそう」
まるで囁かれているような、掠れ声。
……可愛い?
私の声が?
家康が可愛いって………。
「へっ……!!///」
私はすっ飛んだような声を上げて身体を起こす。すると携帯の向こう側から、家康の笑い声が届いて……
からかわれた!
ばかっ!
やっと目が覚めた私は、携帯に向かって叫ぶとプッッ。通話ボタンを押して電話を切る。
すると、
プルルッ……
すぐに折り返し掛かってきて、私は勿体ぶるように暫く携帯の画面を見つめる。