第103章 夏の大三角(11)殿様ゲーム編
三番目の殿様、秀吉。
「お姫様抱っこか」
その呟きを聞き逃さなかったのは、秀吉に憧れこの時を今か今かと待っていた、他でもない弓乃。
自分の番号を秀吉に知らせるようと、顔の横でピースをしてアピール。好意を寄せられていることに、薄々秀吉は気づいてはいたが……。
「ゆっちゃん!頑張れ!」
可愛らしく隣で応援するひまりを見て、ここで選ばなかったら逆にポイントが下がる気がして、二番を指名。
秀吉は軽々と弓乃を横抱きして、
「小春川。ちょっとくっ付き過ぎじゃないか?」
ガッチリと自分の首に回された腕。
滅多に崩れない甘いマスクが、珍しく苦しそうに顔をしかめた。
「戦国プリンスの秀吉先輩に、今、今、わ、私///はぁ……♡」
弓乃はそのまま現実逃避。
「もしかして、ゆっちゃん寝ちゃった?」
「アレは気絶よ気絶」
副部長は突っ込みを入れ、首を軽く横に振った。弓乃が殿様をやる前に、気絶した為、信長の提案でひまりが二回殿様をやることに。
武将全員が淡い期待を胸にドキドキしてるとも知らず、弓乃の分で四番目に殿様になったひまりは……
(まずは、箱の中から命令を引いて……)
箱の中でカサカサと手を動かし、コレだと思うものを掴む。そして取り出し、ドキドキしながら紙を開いた……ら……
「嘘!何これ!?」
そこに綴られた命令を見て、思わず叫び声を上げ、コレを仕込んだ信長の方に視線を向ける。
「どうやら、アタリを引いたようだな」
「そんなもん、入ってるのか?」
「何て書いてあんの?」
政宗と家康はひまりの手元を覗き混んだ瞬間、目を開いた。
「む、無理です!///こんなの!」
「一切の拒否権はない」
「こんなの!ルールになかったじゃないですか!!」
「アタリだと言っておるだろ」
さて、姫が引いたアタリは……?
姫視点でお送りいたします。