第103章 夏の大三角(11)殿様ゲーム編
そして二番目の殿様は、光秀。
四つ折りの紙を開き、中に書かれた命令を見てしばし固まった後……鋭い目をひまりに向ける。
「番号を素直に言え」
「そ、そんな脅しには乗りません!」
信長ので教訓したのか割り箸を背中に隠し、プイッと顔を背けたひまり。日頃から保健室で光秀に、散々揶揄われている。内容はわからなくとも、番号を教えるわけにはいかない。
仕方ない。
恐らく三番だろうが、
万が一外した時、自分に被害が及ぶ。
内容も大した命令ではないからな。
紙に再び視線を落とし……
光秀は違う意味で愉しもうと、思い。
凄い洞察力と勘を働かせ……
「五番と八番が、至近距離で見つめ合う」
「……五番!私です!」
三成は期待してひまりを見るが、
「え?私、三番だよ?」
手に持っていたのは、またしても三番の割り箸。光秀は心の中で舌打ちをする。そして、八番の割り箸を持っていたのは。
「……最悪」
「クッ、クッ。少しは大会前に仲を深めておけ」
見事、家康と政宗をあて喉を転がして笑う光秀。嫌がる家康を無理矢理三成の前に連れ、ストップウォッチが動く。
「家康先輩。見つめ合うというより、睨んでいません?」
「……その胡散臭い笑顔やめて。間近とかきつい」
「眩しくて直視出来ませんか?」
「……目が潰れるぐらいね」
お互い至近距離で、
頬を引攣らせそれでも笑顔を貫く三成。嫌味を言いながら目を据え、睨みつける家康。
「すげえ、光景だな」
「間違いなく、二度と見れないな」
政宗と秀吉が食い入るように二人を見ている、すぐ近くで
(良かった〜思ったより仲よさそうで)
ひまりは一人。
とんでもない勘違いをしていた。