第103章 夏の大三角(11)殿様ゲーム編
「ひまり。貴様、何番だ?」
「え?さ……んっ」
「こ、こら!番号言ったらダメだって!」
ひまりはまんまと信長の手に乗せられ、口を滑らす。途中で弓乃が隣から咄嗟に手を伸ばし、口を塞いだが、時すでに遅し。信長はニヤリと笑い、
「殿様と三番が股ドンだな」
「はあ!まじ、卑怯!そんなの認めないし!!」
立ち上がり真っ先に不服を訴えたのは、家康。しかし、
「殿様の命令は、絶対だ。諦めろ」
「次、あの手は使えませんね」
秀吉に羽交い締めにされ、無理矢理座らさせられた家康の隣で、三成はブツブツと策を練り出す。
そうしている間に、
「へっ?///」
すでに信長に壁ドン体勢まで追い込まれていた、ひまり。
「せ、先生??///」
ズイッと、顔を近づける信長の名前を呼んだ瞬間……
ドンッ!
力強い見事な股ドンをされ、
「顔を上げろ。口づけが出来ぬだろう?」
真っ赤に頬を染め、顔をそらすひまりの耳元で、囁く。普段の身も凍らせるような声でなく……
「貴様が、俺を求めて止まらなくなるような口づけを。存分にしてやる」
甘ったるい鼻声。ひまりは、ピクンとその声に反応し、ゆっくりと顔を正面に動かし始め……
「ひまり!思いっきり蹴って!逃げろ!」
「む、無理だよ…動けない…」
羽交い締めにされた家康はそれを見て焦る。必死に声を張り上げひまりが、信長の誘いに乗らないように食い止めた。
あと数センチで、ひまりが正面を向きそうだった時。
「三、二、一……はい!先生!時間切れです!」
「お前、ちゃっかりしてんな」
政宗は、勝手に時間制限ルールを追加した三成にやれやれと首を振る。
「夕食までに全員が殿様を回り終わる時間を、さっき割り出しておきましたので」
ストップウォッチを片手に、笑う三成。家康が少なからず、感謝をしたかどうかはわからないが……
ホッと胸を撫で下ろしたのは、
間違いない。
まだ、一人目。
家康は、自分の番をひたすら待ち、自分の運を祈った。