第100章 夏の大三角(9)
ーーひまりの恋バナ!いつになったら聞けるんだろうね!
ーーってか!初恋ぐらいは流石にあるでしょ!!教えなさいよぉ〜。
ーー初恋?う、うん?……一応そんな感じのは……あったような?なかったような?
話題が急に自分に向けられて、
咄嗟に笑って誤魔化したけど……
ーー案外、徳川くんだったりして〜
ーー幼馴染でイケメン!まさに少女漫画的な初恋相手ド定番!!
ーーふふっ。何それ〜家康はド定番ってこと?
更に笑った。
家康にとって私は……
私にとって家康は……
あの日から、
『仲良しの幼馴染』
から
『大切な幼馴染』
に、変わった。
きっと、これからも、
この先も……ずっと。
そう思っているのに……
知らず知らずに、私は……
タイムカプセルを開き始めていた。
ーーお母さん!何かね!家康が最近キラキラしてるの!
ーー家康くんは格好良いからね〜。中学入って、背が一気に伸びたらもうモテモテよ!
ーー家康がモテモテ?ちょっと寂しいかも。
ーーあら?キラキラ見えるのは、もしかして……
『初恋』かもね。
お母さんはそう言った。
ーー家康のこと、急に真っ直ぐ見れなくなったり。家康のこと考えると、胸がぎゅってなって、苦しくなったり、眠れなくなったりして……。
この感情の意味を、今度は誰が……
教えてくれるんだろう。