第100章 夏の大三角(9)
合宿二日目の朝。
まずは、早朝起床からはじまり。
部屋の掃除、ラジオ体操を終えて、女子部員も男子部員も台所に集まり、朝食作りに取り掛かる。
外観や大まかな内装は、お城を再現。
けど、設備はちゃんと現代。昨日到着した時はまさか釜戸でご飯作り?なんて、ちょっと心配したけど……見慣れたキッチンが台所にあって、ホッとした。
朝食後、
広間に集まって今日の練習内容の確認。
(あれ?朝食の時は居たよね?)
家康と三成くんの姿がない事に気付いた私。チョンチョンと隣に座る政宗の腕を突いて、聞いてみる。
「早々に鬼練に行ったんだろ?」
鬼練?
そっか!!
三成くんは札も取ってないし、橋を渡っていて山道ルート試練も受けてないから……。
それに家康は、
自分の分の札を副部長に渡して……
ーーご協力。どうも。
ーーいいの?
肝試しの帰り道。
そんなやり取りがあった事を思い出す。
私は首を少し伸ばして、
広間の中を見渡す。
確かに織田先生の姿もない。
「……大丈夫かな?」
「どっちの心配してるんだ?」
「え?二人共だよ?」
何で、
そんな当たり前のこと聞くんだろう?
「???」
「深い意味はねえから気にするな。それより、朝食に出た卵焼き……」
政宗は話題を変え、私が今朝作った卵焼きを褒めてくれる。
「卵料理は得意だから!また、今度政宗が作るフワフワのオムレツの作り方!教えてね!」
「おぅ。夏休み中に伝授してやる」
「約束だよ!上手く出来るようになったら、家康に今度こそリベンジするから!」
「何だ。文句でも言われたのか?」
「フワフワじゃなくて、ペチャンコの間違いじゃない?って言われた」
家康の口真似をした後、頬を膨らませると、政宗はぽんぽんと軽く叩きながら……。
少し、声のトーンを落として
「……あいつの真似なんかしなくていい」
「え?似てなかった??」
「はぁ……。自覚なし子」
政宗はため息を吐くと、まぁいい。
そう言って目を細めた。
そして、
家康と三成くんが不在のまま……
副顧問の明智先生の元。
またいつもと違う、
厳しい練習が昼過ぎまで続いた。