第100章 夏の大三角(9)
合宿三日目の夜……。
部員が花火で盛り上がる中。
弓乃はくるりと、振り返り……
「あんたにだけ、言っとく」
そう、時間かかんないわよ……。
「別に余裕なんぞ……」
無いけどな。
木に寄りかかり
星空を見上げた、一人の影。
まだだ。
見守る方に今はまだ、傾いていた。
そして花火終了後……。
今度は二つの影が同時に現れる。
重い空気を漂わせ、
ある程度の距離をとり……
「私も抜け駆けの方に、変更しようか悩んでいまして」
「……勝手にすれば」
興味ないし。
絡み合う視線。
「最初から立場的に優位ですから。余裕ですか……?」
「は?どこが。一番不利の間違いだし」
俺は別にアレにしがみ付いてない。
「そう言うことをサラリと言える所が、余裕なんですよ」
真夏の星空の下。
三人の想いがそれぞれ交錯する。
時は、
合宿の二日目の朝へと。