第99章 夏の大三角(8)肝試し編
異変に気付いた、六人。
「な、なんだ!」
「何か橋がミシミシ言ってるし!」
政宗と弓乃は慌てて懐中電灯で、
奥を照らすと……
一目散にひまりの手を引き、走ってくる家康の必死な顔が浮かび上がる。
「やはり、神様は平等に罰を下されたのですね」
「クックッ……これは実に愉快だな」
「あのままだと、織田先生が一番危険なのでは?」
三成、光秀、秀吉がそれぞれ違う感情を見せる中。
「お姫様の手は、しっかり離さないってワケね」
副部長はやれやれと息を吐き、
事の成り行きを見守った。
「もう、やだぁーーっ!!」
さて、ひまりの吊り橋効果は?
行きに一緒に渡った三成か……
「ってか!橋、壊れて来てるし!」
帰りを数十秒で渡りきった家康か……
「ねぇ、私達。どうやって帰るの?」
「おい!これ!?」
取り残された弓道部員。
橋を渡らず険しい山道を通って帰るルート。その地図を、鬼練がわりに信長は置いて行った。
長い『肝試し大会』
やっと、幕が下りた?
ん?
「ひまり。どうしたの赤い顔して?」
「……やっぱり、赤くなってる?」
髪に差した三つ葉のヘアピンに触れながら、横に視線を逸らすひまりに、弓乃は静かに頷いた。
(完)