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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第99章 夏の大三角(8)肝試し編




二人の手が
木札に触れた瞬間だった。



「くちゃり……カラッ。バキッ!」


暮石の後ろから




「……そんなに、金平糖が欲しいのか?」




ガシッ!!!


伸びてきた赤い手。

血管が剥き出し状態。
成人した男の手の三倍の大きさ。
鋭く伸びた爪はまるで剣先のように、

先端が光り……


まさに、鬼の手。



「いやぁぁあ!キャァァァア!」



ひまりは掴まれた瞬間、悲鳴を上げ木札を下に落とす。家康はその手を払いのけ、素早く木札を二つ拾うと



ドンドンドンドンッ!!

ガッタン!



「うぅぅぅぅ………」




「……なっ!!」




壊れた小屋の扉から外へ
なだれ込んだ弓道部員。
それを見て流石に、固まる。

中の狭さと暑さでもがき苦しみ、
表情はまさにゾンビ化。



「き、ふだ……渡せぇ……」


「とくが、わぁぁ!!」



家康は今にも気絶しそうなひまりを抱き上げ、身の危険を感じ取ると全力で走り出す。



「まてぇぇぇ!!!」



鬼練を逃れたい為に、弓道部員は一斉に二人を追いかけた。



「家康!もう怖い!怖すぎだよぉ……もっとぎゅってして」



完全に恐怖の吊り橋効果に落ちたひまり。横抱きされたまま家康の首に絡まり、頬に顔を引っ付けたり、挙句にふくよかな胸を身体に擦り付ける。


「ちょ!///甘えんのは後にして///」


「やだぁ!家康がいないと、もぅ無理だよぉ……」



涙目で甘え声。



(やばい、俺はこっちのがやばい///)



完全に幼少期に還ったかのように、ひまりは家康を翻弄し始めた。このまま何処かに連れ去りたい。しかし、背後から迫り来る複数の足音。



「早く、二人っきりになりたいよぉ」



ひまりの言った二人っきりとは、早く安全を確保したい意味合い。

だが、家康は別の意味で都合よく解釈し、受け取ると……



(可愛すぎだしっ!もうぎゅっどころじゃ済まさないし!こうなったら!)



昼間の練習でガタがきていたはずの足。もはや驚異的な力と無我の境地に入った家康。ゾンビ化した部員達との距離を、どんどん引き離していく。



(家康、凄い……。何か格好良い……)


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