第99章 夏の大三角(8)肝試し編
「三成くんと副部長……大丈夫かな?」
「……多分。ひまりみたいに怖がりじゃないし」
「三成くんは平気そうだったけど、副部長は女の子だもん。怖いに決まってるよ……」
頼り甲斐があって、芯も強い副部長。
ひまりもそれは知っているが、だからこそ無理して強がったり、そうでなくともこんな暗闇で一人だったら、絶対に怖いし不安に決まってると、心配で堪らない。
「やっぱり、先に探しに行った方が!」
「……三成が追いかけたみたいだし、大丈夫だと思う。それに……」
家康は一瞬、話そうか悩んだが少しでもひまりが安心出来るならと……
「もし、肝試しクリア出来なかったら。後で、俺の分の木札渡すつもり」
「え?でもそれだと、家康が……」
「副部長に誘われてペアを組んだのは、ある条件付き。まぁ、ちゃんと協力して貰ったし、それぐらいはする」
「条件付き??一体どんな?」
協力して貰った。つまり過去形。
ひまりは、それが気になり尋ねた。
「それは、内緒」
そっか。
ポツリとそう呟き、
ピタリと足を止め俯くひまり。
(何だろう凄く気になる……)
内緒と言われれば、誰だって余計に気になるものだ。
そしてひまりは同時に、家康から誘ったわけじゃないと知り、何故かホッとする自分に戸惑っていた。
家康は手が急にピンと張るのに気づき、
くるりと振り返る。
すると、
「……あのね。言いづらいのと聞きづらいのとで、ずっと隠してたんだけど……」
本当に今更だと思いながら、
春に副部長が家康に告白してる所を見たと、打ち明けた。
ひまりは、気まずそうに靴で地面の砂利を少し横に動かす。
家康はただ口を閉ざし、次の言葉を待った。
「家康が好きな子いるのも、その時に聞いちゃって。盗み聞きするつもりなんかなかったんだけど」
黙っててごめんなさい。
ひまりは、やっと重い荷が降りたようにその後もポツリポツリと話を続け……