第13章 卯の花月(1)
放課後___
今日は新入生の部活見学日。
校舎から離れた体育館横に、弓道部の道場がある。
部員は男女合わせて20人。
その内、二年生の男子が6人。
女子が5人。残りは三年生の先輩。
私が入部した時は50人くらい居て、最初の頃は、殆ど道場の中には入れなかったんだけど……何故か数ヶ月後の夏には半分に人数が減っていて。
ずっと不思議に思っていたら、後から秀吉先輩が教えてくれた。
織田先生の指導について行けない人が、続々と退部していた事を。
(後、不純な動機で入部した子達がどうとかも、言ってたような……?)
私は、部室のロッカーを開けて胴着に急いで着替える。
「姫、頑張ってチラシ配っておいで!」
「また、すぐ副部長は……その姫って呼ぶの、いい加減止めて下さいよ」
「気に入ってんのよ!ひまりにピッタリだしね」
ペシッと私の頭にチラシを乗せたのは、弓道部の副部長。頼もしくて優しくて大会も何度か優勝していて……憧れの先輩。
(私に姫なんてあだ名、全然似合わないのに……)
「行こう!ひまり!あんたがチラシ配ったら男子の見学希望者増えるから!」
「女子の方は徳川君と伊達君が居れば大丈夫だし!」
「???」
首を傾げる私。
仲良しの女子部員の子達に背中を押されながら、部室から外へと向かった。
三年生の先輩も今夏の大会後には、引退予定。
だから、今日は頑張って新入生に沢山見に来て貰わないとね!
張り切って、チラシを配ろうと……
したんだよ?一応?
「道場まで、案内して貰えますか?」
私の手にあった筈のチラシ。
今は、三成君の手にあった。