第97章 夏の大三角(6)肝試し編
空の色が黒く染まり、
満点の星空が浮かぶ中。
どんよりとした重い空気が
漂いはじめた。
真夏の蒸し暑い夜。
肝試し大会が行われる……
少し前。
「徳川君。折角だから、私とペア組まない?」
家康の前に現れた副部長。
珍しく妖艶な笑みを浮かべ、以前校舎裏で告白をした時のように髪を下におろし……
サラリと手で流した。
「ひまり先輩。遠慮せず、抱き着いて下さいね」
ペアを獲得した三成。
ひまりの前で、星空に負けないぐらいのキラキラ笑顔を浮かべる。
そして、
様々な思惑が動き出す。
「っとに、勝手なこと決めやがって」
「こっちはこっちで、楽しむとするか」
「クックッ……」
「容赦などいらん。いけ」
『肝試し大会』
持ち物、懐中電灯。
ルール、墓地に置かれた札を取り元の場所に帰ってくる。
よくあるポピュラーな肝試し。
札を取らず途中リタイアした者は、顧問から明日鬼のようなトレーニングが追加される。
(もう……っ無理)
既に涙目のひまり。
無事に札を取れるのか……
明日、鬼練に参加することになるのか……