第94章 夏の大三角(3)
こうなった理由__
合宿前日の朝。
駅前にある噴水広場。
三成くんとの待ち合わせ場所。
(変じゃないかな?)
身を乗り出して噴水を覗き、水面に映る自分の姿を確認。
赤いチェックの半袖ブラウスに、デニムのフレアスカート。白色のサンダルに、片編み込みヘア。
ちょっと、ガーリーっぽくしてみたんだけど。子供っぽい?三成くんは、シンプル系のイメージだから、大人っぽくした方が良かったかな?
私は立ったまま、手首をひっくり返して、腕時計で時間を確認する。
午前九時。
(映画、確か十時だよね)
私は鞄を肩に掛け直し、
首を伸ばして辺りを見回す。
夏休みの休日。
周りにいる恋人達や友人が次々に、目的地に向かってその場から離れて行く。
念の為、携帯を取り出して確認。
待ち合わせ時間が間違っていないか不安になり、この前、三成くんからきたメールを開く。
(返信うっかり忘れちゃってたけど、ちゃんと部活の時に返事したから、大丈夫だよね?)
待ち合わせから十分経った頃。
ようやくこっち向かって走ってくる姿を見つけ、私は手を振る。
すると何にもない所で躓き、
目の前で転けそうになる三成くん。
私はつい吹き出しながら、
「ぷっ……大丈夫??」
「す、すいません!女性を待たせるなんて、非道な真似を……っ!」
「そんな大袈裟だよ〜十分くらいの遅刻で」
三成くんが心底申し訳なさそうな表情をして、何度も頭を下げるのをみて……私はクイクイと服を摘んで、早く行こうと笑う。
やっと顔を上げてくれたと思ったら……今度はポカンと口を開けて、黙り込んじゃって。
「映画、始まっちゃうよ?」
「つい、見惚れてしまって」
凄く可愛いです。
ありがとう///
最高のスマイルを向けられながら、服装を褒めてくれて、照れながらお礼を言う。
急に普段の三成くんに戻るから、困る。
「でも、三成くんが遅刻なんて……寝坊?」
「……うっかり電車を反対方向に乗ってしまい」
自分でも思った以上に緊張してたみたいで。三成くんは、そう言ってさり気なく私の荷物を持つ。