第94章 夏の大三角(3)
ねぇ。
誰か教えて。
「そういうこと」
スラリとした細い指。
私の手よりずっと大きい手。
片腕だけで、
すっぽりと身体が包まれて……
顎を持ち上げられて……
何でここに……
「もし、俺が……」
ひまりの彼氏だったら……。
「大事な彼女。絶対他の男になんて、触れさせない」
なんで、こんなことに。
「……ひまり先輩を、離して下さい」
三成くんの声。
確か、さっきまで一緒に映画見て……
買い物して……
それから……
「い、えやす……」
誰に怒ってるの……?
「……三成には、役不足」
「それは、彼女が決めることです」
合宿の前日。
ここから巡る戦いが、火蓋を切った。
『夏の大三角』
徳川家康vs石田三成