第91章 『一ヶ月記念作品』時を越えるルージュ
(姫主視点)
和のルージュ撮影が終わり。
一旦控え室に戻り、スタッフさんに渡された衣装を着替える。
今度は真っ白なキャミワンピース。
シンプルだけど、背中部分がリボンで編み上げてあって可愛い。
フレアタイプの裾に白いファー。
これだけでも雰囲気は変わる。
でも、何より
スタイリストさんの技術。
本当に凄い。
ヘアアイロンを凄い速さで滑らせ、クルクルと髪を巻き……ストレートからあっという間にふわふわのお姫様風に。
そして濃いメイクから、今度は透明感がある、薄づきの素肌メイクになり……。
まるで、魔法がかかったみたい。
気付いたら鏡の中の私は、別人のように変身した。
「本当にお人形さんみたいに可愛い〜絶対モデルになった方がいいよ!」
「スタイリストさんのお陰です!私なんか全然……っ!」
「そんな謙遜しなくていいのに。本当に勿体ないわぁ〜私はいつでも大歓迎だからね!」
ありがとうございます。
私は、照れながらはにかむ。
お世辞でも可愛いって言って貰えるのは、嬉しい。
(家康も言ってくれるかな……)
えっ!何で家康///
一番言ってくれなさそうなのに!
自分の心の声に突っ込んで、
赤くなった頬を押さえていると……
コンコン。
扉のノック。
「スタンバイお願いします〜」
スタッフさんに呼ばれ、私はもう一度鏡の中の自分をチェックする。そして気合いを入れるようにガッツポーズをして、スタジオに向かった。
扉を開けて中の様子を伺う。
真っ先に視界に飛び込んできたセット。
いつの間にか1人掛けの
ベルベット椅子が姿を消し、
真ん中に、赤いクッションが一つ。
そして背後に一般的なサイズの
クリスマスツリーが立っていた。
(部屋の中?みたいな感じかな?)
セット近くで、先に編集長さんと
打ち合わせしていた三人。
ゆっくり、中に入ると
スタッフさんの、モデルさん入ります!
と、言う声がスタジオに響いた。