第91章 『一ヶ月記念作品』時を越えるルージュ
「もしかして、付き合ってるのか?」
「……まだ、付き合ってない」
なるほど、
絶賛片思い中ってやつか。
素っ気ない返事がそれを物語ってる。
「君達、全員そんな感じだな」
「…………」
だから、乗り気じゃなかったのか。
俺はある事を提案する。
「この写真カットは、君達の顔は全部ぼかせて載せる」
「それ、最初に聞きましたけど」
「ただ、広告看板に使うメインの写真は出来れば、相手の顔も載せたいと思ってる」
君にお願い出来ないか?
彼の顔立ち雰囲気を見て、はっきりと浮かんだイメージ図。自分の中の直感も後押しし、俺は頼む。
「やばいぐらい、絡ませてくれるんなら……」
喜んで引き受けるけど。
俺は壁にもたれ、彼にその部分のコンテを見せる。細かく書かれた構成。
「引き受けてくれるかい?」
家康君は口を閉ざしたまま、首だけは縦に振った。