第91章 『一ヶ月記念作品』時を越えるルージュ
どよめきの中、スタジオに姿を現した彼女を見て……俺は一瞬、止まりかけた心臓を突き動かす。
「まさに俺のイメージ通りだ!」
「あ、ありがとうございます///」
和のドレスに身を包んだ姿に、俺は興奮して手を握る。
身体のラインが良くわかる。
スレンダーラインの和ドレス。
赤いサテン生地に、帯と裾、胸元にブラックを基調した和柄素材を使い、艶っぽい仕上がり。
しかも予想以上にスタイル抜群で、うっかり俺まで強調された胸に目が奪われそうになる。
「ほぉ。なかなか愉しませて貰えそうだな」
「存分に絡むとするか」
「ひまり。よく似合ってる」
「「「////……」」」
和の絡みをする三人とは違い、初々しい三人組は口をポカーンと開け、目元を赤く染めている。
(少し、刺激が強すぎたか)
よろしくお願いします///
ひまりちゃんは、頬をドレスの色と同じぐらい赤く染め、丁寧にスタッフ一人一人に挨拶をしていた。
こうして撮影が始まり、
「信長さんは、その椅子に座って足を軽く組んで貰い、ひまりちゃんはその上に横向き座って……」
セットの真ん中に小道具用のベルベット素材の椅子を置き、二人に指示。
「え!?す、座るんですか!?///」
「つべこべ言わず、座れ」
躊躇して立ち尽くす彼女とは違い、信長さんはグイッと胸元に手を回す。そして自分の左寄りに座らせた。
「きゃぁ///先生、どこ触って///」
俺は苦笑いしながら、信長さんに右肘を手すりに立てて貰い、その手に真紅のルージュを持たせる。そして左手をひまりちゃんの腰元に添えて貰うと、
「では、信長さんはカメラ目線で!ひまりちゃんは、腕を絡ませて視線は信長さんに向けて!」
後の、細かい指示はカメラマンに任せ見守る。パソコンで写真チェックをして、真紅ルージュ撮影は終わった。