第89章 『妄想未来の甘い苺味』※R18
「お邪魔し……ます?」
「ぷっ!何それ、新居だって言ってんのに」
「だ、だってそんなの聞いてないし……っ!まだ、結婚も……」
「何?婚約なんか破棄させないよ?」
「そ、そうじゃなくて!///」
「ぷっ、くっ。ひまりは、ほんと変わらない」
中に入ってようやく普通に話せる。そう思ったのに家康は吹き出しながら、私の手から荷物をパッと奪いそれを床に置く。そして前触れもなくヒョイと私を抱き上げるとパンプスを両方脱がし……
「我慢できないから。抱きながら、説明しても良い?」
「ま、待って///」
肌触りの良いフカフカのベッドに沈められ、私は慌てて首筋に噛み付く家康を押しとめる。
何で?
明らかに家康の顔にはそう言ってて……
それでも私は、
びしょ濡れだし。
新居も聞いてないし。
頭パニックだし。
と、言い訳を並べ。何とかブラウスのボタンを半分ぐらい外された所で、やっと家康の手が止まり……
「ここ賃貸マンション。新婚の間ぐらいは、二人で暮らしたかったから。ちゃんと、許可貰ったし」
ひまりの両親にも。
「で、でもいきなり……っ」
少しは相談してくれても。そう言うと、家康は少し困った顔をして自分の濡れた髪を軽く掻き上げ……私の身体を起こす。
「勝手にごめん。でも、ひまりに相談したら賑やかな方が良いからって……言われそうだし」
「だって、私はそのつもりで……」
おばちゃんに色々教えて貰って、花嫁修業したのに。
家康は頬にへばりついた髪を、
優しい手つきで耳にかけてくれる。
「子供が出来るまでの間。俺に、ひまり独占させて」
髪が濡れてるせいかな。
家康の表情がいつにも増して、色っぽくてゾクゾクしちゃう。
「せめて、内装はひまりの好きにさせてあげたくて……ベッドしか買って無い」
「いつまで、内緒にしておくつもりだったの?」
「結婚式挙げて、新婚旅行から帰ってくるまで」
家康は私の左手薬指に口付けしながら、意地悪そうに笑う。すぐそうやって虜にしてくるから、ほんと困っちゃう。
でも、勝手に何でも決めちゃう分。
全部、それは私の為だってわかってるから。
そんな所も……
大好き。