第89章 『妄想未来の甘い苺味』※R18
石目調の大理石のタイル。
静かにしようと思っても、足を動かす度にヒールがカツンカツンとぶつかり広いロビーに響く。
外観のビルからは想像出来ないほど、中は自然に溢れ、右側一面ガラス張りの壁。そこから見える庭園に、植えられた木々。淡い灯でライトアップされ幻想的な情景を醸し出していた。反対側の壁は木の格子が貼られ、まるで何処かの高級旅館のようなマンション。
私は視線をそこら中に泳がせながら、家康に手を引かれどんどん奥へと進んで行く。
声を少し出すだけでも響きそうで、躊躇しながらも気になって聞いてみる。
「ここって一体……?」
「俺らの新居」
へ!?
サラッとそう言われ、思わず私は大きな声が出そうになり手で口を押さえる。家康は、その反応を見て口元を少し緩めると中で話すからと言って、一番奥の部屋の前でカードを取り出し……
セキュリティを解除すると、扉を開き私に先に入るように促す。