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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第88章 『二つの夢物語』




はぁ……。

私は再び電車に乗りトボトボ歩きながら、駅前に戻って来ていた。

ゆっちゃんとの待ち合わせ時間まで、何処かで時間を潰そうとブラブラあてもなく歩きながら……


薬指にはめた婚約指輪に触れる。


(折角だし、雑貨屋さんにでも行ってお揃いのマグカップでも買おうかな)


何となくどんよりした気分を晴らしたい。


その時、


鞄の中がブッーと振動。

通行人の邪魔にならないように、歩道の端っこまで移動し、携帯の画面を指で滑らせる。


「もしもし?光秀さん?」

「やっと、出たな」

「ご、ごめんなさい!打ち合わせ中、バイブにしてたから気付かなくて!」


確か、今出張中だよね?


「お前のマヌケな声が急に、聞いてみたくなってな」

「何ですかそれ。褒め言葉ですか?」


クスクス口元を押さえながら笑えば、電話越しにクッと喉を鳴らす音が聞こえる。


「……お仕事中なのに、電話ありがとうございます」

「何だ?珍しくしおらしい声して」

「そんな事ないですよ?」


顔を見て話してないからかな?
何となく、弱音を吐いてしまいそうになる。私は肩で大きく深呼吸して、


「今から、ゆっちゃんとランチ行く前でちょっとお腹減ってるだけです」

「……あまり、強がるな。この時期はマリッジブルーになりやすいからな」


光秀さんの口から意外な言葉を聞き、少し面食らいながらも、はい。と短い返事をして電話を切る。


すると、


すぐメールが来て……

主張先かな?

綺麗な山の風景の写真。
わざわざメールに貼り付け、送って来てくれた。



(マリッジブルーかぁ……)



少し曇りがかった空を見上げた後、雑貨店の中に。

店内に並んだ、
可愛い食器や雑貨。


私はくるくると歩き回りながら、手に取ったり、眺めたりを繰り返す内……


ある、ペアのマグカップに目が止まる。


「ありがとうございました〜」


可愛くラッピングして貰い、紙袋を大事に抱えて私は店から出る。


落ち込んだり
元気になったり
不安になったり
浮きだったり……


これがマリッジブルーなのかな?


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