第83章 『七夕の織姫レシピ』
イチゴ柄のエプロン。
髪を横に一つに結び、
手際良く包丁を動かす姿。
(だめ。可愛い新妻にしか見えない)
「短冊に、ひまりちゃんが早くお嫁さんに、来てくれますように。って、書こうかしら?」
「ふふっ。そんなの書いたら、家康に怒られちゃいますよ?」
怒んないし。
ってかソレ俺のお願いごと。
クスクスと笑うひまりの声。
心地良い、包丁の音。
頭に浮かび始めた、新婚生活。
結婚したら毎日……。
ーー待っててね!お夕飯、すぐ作るから!
エプロン姿でキッチンに立つひまり。
俺の為に夕飯作ってくれて。
ーー母さん達、今日からいないんだっけ?
今でも、結構留守がちな両親。更に海外旅行に行って貰い、甘々な時間を二人で過ごして……。
ーーうん!だから、今日から二人っきりで///ちょっと、淋しいけどね?
ーー俺は嬉しいけど。
ーーわ、私だって嬉しいよ?///
ご飯を作る可愛い後ろ姿。
そっと抱き寄せて。
ーー家康……まだ、途中で///
ーーってか、まだして貰ってない。
ーーだって!……まだ、恥ずかしくて///
ーー無理。ちゃんと毎日するって約束。
なら、このまま先にひまり食べるよ。
ーーや、やります///少し、屈んでくれる?///
一生懸命背伸びして、おかえりのキス。
恥ずかしがるひまり。
気にせず、じゃれ合って。
ーーもうっ、嘘つき!まだ、作ってないのに///
ーー後で手伝うから。
先に、ひまり食べさせて……。
ーーひゃん…あっ…だ…だめっ///
やばい。
キッチンで乱れるとか……。
(刺激強くて、鼻血出そう///)
俺は危うく参考書を落としかけ、
現実の世界に引き戻される。