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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第78章 「白詰草の花嫁(8)家康様編」




(ど、どうしよう!話がどんどん……っ!)


おかしな方向に!!飛躍してる!
後ろを歩いている幸に、助けを求めようとするけど、タイミング悪く誰かと電話していて……。



「あ、あのお友達って事でなら、番号教えますので……っ!」

「俺は、彼女と登録する」


(もう、冗談なのか本気なのか良くわかんないよ〜〜っ!)


じわじわと迫られる内にいつの間にか幸から離れ、何処かの店の壁に追い詰められた。



「あ、あの!さっき、幸が謙信さんは女の子があまり好きじゃないって、言ってた気がっ!」

「お前は、例外だ」

「で、でも今日会ったばかりでいきなりその冗談はちょっと……」

「冗談ではない。本気だ」



え!?



ドンッ!




壁に手を突かれ、逃げ場を失う。




「そんなに、信用出来ないのか?」




なら今すぐ、口づけしてやる。




顎を捉えられ、顔が嫌でも上を向いて……。



凍りつくような瞳。
左右違う瞳の色が両方……

赤い気がして動けなくなる。




(家康……っ!!)




無意識に心の中で、その名前を呼んでいた。



「いやっ!!」




目を瞑り、

必死の抵抗で、

顔を横に背ける。




(やだよ……っ)




ーーーー以外は。



(え………っ……)



今……。


私は……。



自分に驚いてパッと瞳を開ける。


すると目の前にスッと風が吹く。

白いシャツが視界に広がって……。





「俺のひまりに」






触んないでくれる?






いつも、一歩前を歩いている



家康の背中が間近にあった。




「家康……っ!」




庇われた背中に顔を引っ付ける。
声を聞いた瞬間、私の胸はドキドキじゃなくて、トクトク何かが動き出す。



(俺のひまり……って……)



幼馴染って意味だよね……?




「邪魔をするな。お前とその女……」




ただの幼馴染だと聞いた。




「……………」




何故か込み上がる涙。





嬉しくて…?
安心して…?

苦しくて…?



(何これ………)


もどかしい涙が、

家康のシャツを濡らした。


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