第77章 「白詰草の花嫁(7)秀吉様編」
私達は、久々に会えた事にはしゃいでつい話し込んでしまう。
「元気にしてたか?」
「うん!家康にこの前、聞いたよ!弓道復活したって!」
「あぁ。やっと肩の調子良くなってな!一年間、辛抱した甲斐があったぜ!」
幸と家康は中学の時の親友兼、弓道部のライバル。中三の冬に親御さんの転勤と受験が重なり、私達とは違う市外の春日山学園に幸は入学。
(良かった〜肩の怪我治ったんだ)
高校に入って古傷を痛めたって、前に家康から聞いた。だから、一年生の時は大会に出ていなくて……私が会ったのは中学の卒業式以来。
「ずっと、心配してたんだよ!私には全然、連絡くれないし」
「どっかのバカが煩いからな。お前に連絡あるなら、俺を通せってな」
どっかのバカ?と、私が首を傾げると幸はニヤッと笑う。
「こっちは色々、愚痴聞かされて困ってんだ。早く、気づけばーか」
「???」
「おい、幸村。まさか、俺の存在……忘れてないだろうな?」
幸の隣にいた人が目をスッと細める。
(私ったら挨拶もせずに!)
ずっと静かに私達のやり取りを聞いてくれていた、幸と同じ制服姿の男の子。