第74章 「白詰草の花嫁(4)光秀様編」
家の前に着き、車から降りる。
明智先生に手を振り、車が見えなくなるまで見送った。
(さてと、明日の予習しないと!)
軽く気合いを入れ、
自分の家の門に手を掛けた時。
コツン。
突然、背後から頭を小突かれ
「……遅い」
「家康!!」
くるりと振り返る。
何でこんな遅いの。
家康のすっごい低い声。
カシャン。
背中に門が当たるまで詰め寄られ、ちょっと寄り道していた事を話すとみるみる不機嫌に。
「新月だったから、ちょっと願掛けをしてて……ダメだった?」
お伺いを立てながら、チラッと視線を向ける。すると今度は、何処で何のお願いをしたのかと。しつこく聞かれ……。
もう、完全に保護者みたい……。
そもそも、何でここに?
すると私の心の中を読んだみたいに、
「……電話。全然出なかったし」
慌ててポケットから携帯を取り出すと、画面に数件の不在着信。
全部、家康から。
「あの、先生。有名なんだけど」
「明智先生が?何で有名なの??」
すると、家康は重たい息を吐きながら
門に片手を突き、私が動けないようにすると、
「言わないと、ずっとこのままだけど?」
「願掛けなんだから、言ったら意味ないよ!」
家康のお願いしたなんて、恥ずかしくて言えない。
「何で、そんなに怒ってるの?」
「ひまりが、危なっかしいから。こんな夜に男と寄り道とか。ほんと、バカ?」
「男って!先生だもん!」
「……で、その男の先生に何されたの?」
あー言えばこー言う。
不機嫌な家康はいつもこう。