第71章 「白詰草の花嫁(1)光秀様編」
待たしてはいけないと思い、階段を片足を上げてぴょんぴょん降りていく。
「お母さん〜!先生、迎えに来てくれて!」
「大変!ご挨拶しないとね!」
お母さんと一緒に玄関を出る、すると先生は車から降りて私を傘の中に入れてくれた。
「わざわざ、すいません。ご迷惑をお掛けした上に、お迎えまで来て頂いて」
お母さんが頭を下げると先生は、学校側にも責任はあるからと逆にお詫びまでしてくれて……。まさに大人の対応。いつも私をからかって愉しんでいる先生とは別人。
「大丈夫か?」
「はい!大分、腫れも引いてきて」
後、三日もすれば治るとお医者さん言われた事を話した。
「ならば、残りの三日。雨が降ることを祈るとするか」
「先生がそんな冗談言うの、似合いませんよ?」
助手席でクスクス笑うと、
「心地良いな。朝からお前の笑い声を聴くのは……」
先生は助手席のシートに片手を置くと、私の顔をまじまじと見る。
その視線に耐えきれなくなり、鞄の中に手を入れてある物を探す。
「そ、そう言えば家康遅いですね!今、電話してみますね!」
えっと、携帯は……。
「家康は、朝練に行った。俺が送り届けるのはお前だけだ」
「え!?朝練!でも、家康も怪我して……」
そこまで言いかけて、口を閉じる。
家康の性格なら、きっと怪我ぐらいでは休んだりしない。
大事な大会を控えた時期。
来週には期末テストがあるから部活動が休みになる前に、きっと……。
(私にはすぐ無理は禁物って。口癖みたいに言うのに……)
自分には、人一倍厳しいから。
私も見習わないと!