第69章 風待ち月(18)
『花ノ天女神社』
時は、戦国……
天邪鬼な神に
愛された天女がいた。
花のように可憐な姿
花のように美しい心
しかし、天女は
禁断を侵し天罰が下る。
『決して叶わぬ恋』
下界の男に溺れ、
天女は花の姿に変えられた。
『一筋の想い』
『一筋の雫』
それが
天女を元の姿に戻す
……唯一の力だった。
時は、江戸……
ある日の春。
仲睦まじき夫婦が寄り添いながら、天邪鬼な神が崇められていた、この神社に訪れた。
鈴を鳴らし、手を取り合う。
そして、
天女が身に付けていた
『羽衣』
を、祀った。
『平和な世』への
感謝の気持ちを込めて。
二人は、顔を見合わせ笑った。
この神社は後に、『花ノ天女神社』と、名付けられ『羽衣』は、真の姿(前世)を映し出すと言い伝えられている。