第68章 風待ち月(17)
次の日、周辺散策。
私達を乗せたバスが動き出す。
キャンプ場から少し降りた場所。
『花ノ天女神社』へと向かう。
昨夜、事情があったとは言え、勝手な行動をした私。罰として今日は、バスの中一人で待機かな?と、肩をガックリ落とし、参加を半ば諦めかけていた。
けど、織田先生はお咎めなしの代わりに、絶対に無理はしない事を条件に、参加を許してくれて……。
(だからって……)
「お姫様抱っこが、一番よろしいかと」
「ばぁか。負ぶんのが一番、手っ取り早い」
「……両方、俺がする」
バスを降りた途端、三成君、政宗、家康に囲まれ、私は苦笑いを浮かべる。
「家康先輩も怪我人なんですから、安静にして、離れた場所から指咥えて見ていて下さい」
「お前、笑いながら、何気に凄え毒吐いてねえか?」
「……どうやら、崖から落として欲しいみたいだね」
三人が言い合っている隙に、
こっそりと移動して……。
「ゆっちゃん。肩貸してくれる?」
「もちろん!バカ三人は、放っておいて行こう!」
「俺の腕、貸してやる」
「「秀吉先輩!!」」
だから一緒に行こうと、
何処からかともなく現れた秀吉先輩。ゆっちゃんは思い掛けない展開に、もう目がハート状態。
(良かったね♪)
ゆっちゃんにウィンクで、心の声を伝える。そしてまだ、揉めている三人を置いて私達は神社の鳥居を潜った。