第67章 風待ち月(16)
キャンプ場に戻ると、職員用テントの下にゆっちゃんが待ってくれていた。
「心配したんだからっ…!」
「ごめんねっ」
ゆっちゃんが築城さんに詰め寄るぐらい、私のことを心配してくれた事を家康が教えてくれた。
がっしりと抱き合い。
二人で泣きながら、
私は何度も謝りお礼を言う。
「本当にごめんなさい!」
捜索してくれた皆んなに、腰を曲げて深々と頭を下げる。
「っとに、こんなに心配させやがって」
政宗は私の前髪をくしゃりと掴み、ぎゅーと抱き締めてくれる。私も広い背中に手を回し、ごめんねと謝り続けた。
「私も心臓が止まるかと思いました。本当に良かったです」
三成君はホッと息吐きながら、穏やかな笑みを向けてくれて……。私は手を握り、何度もお礼を言う。
「その足では、ダンスは無理だな」
秀吉先輩は、治ったらもう一度申し込むからなと冗談を言って和ませてくれた。
水浸しの皆んな。
なのに、
温かい言葉をかけてくれて……。
嬉しかった。
頭を撫でて貰ったり、
涙を拭って貰ったり。
優しい気持ちを沢山貰えて、
感謝の気持ちが、私の中に溢れた。