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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第66章 風待ち月(15)





「暗闇の中で、凄く綺麗に光るから……」




(綺麗に光る……?)




家康の吐息が耳にかかり、
爪先が痺れたように、ツンと力が入って……。






「触りたくて、手を伸ばすのに……」





(どうして私に……)




更に密着した身体。
失っていた体温が、
急速に戻り出して……。






「全然、ジッとしてくれなくて……」






(凄い力で動けない……)




肩に回された腕の力が強くて、
呼吸が止まりそうになる。






「やっと、捕まえたと思ったら。すぐ、何処かに飛んでくから……」





(熱い………)



家康の声が首筋を掠め、私の肌をみるみる赤く染めていく。






「ほんと困った子」





俺の好きな子は。






(家康……)


再びはっきりと開いた瞳。
首を少し捻るとぶつかる視線。
それが吸い込まれるぐらい綺麗で。




(こんなの、まるで……)




私に言ってるみたいに、思えちゃうよ。そんな錯覚を起こすぐらい、家康の瞳が真っ直ぐに向けられて……。




勘違いしちゃだめ。
そんな素敵な子。






絶対、私じゃないから。





でも……。



「その子が今の話を聞いてたら、きっと凄く喜ぶと思う」

「え………」

「だって、家康にそんな風に思って貰えるなんて……」



回された腕。
私は無意識に震え出した手で、そっと掴む。すると家康は、


「思って貰えるなんて?」


言葉を繰り返し私の身体をくるっと正面に向け、髪に指を絡める。

熱い視線を全身に浴びて……。
すっかり自分が下着姿なのも忘れてしまっていた。


家康はその先の言葉を
急かすように、
指で私の唇をなぞり……。

ゆっくりと指を滑らせ、
今度は顎を持ち上げ……。


時間が止まったように、
私達は見つめ合う。






「ひまり」







「思って貰えるなんて……」






誘導されるように、声が溢れる。

どうして、
目を閉じようとしてるの……?

私は一体、何を……。



「家康……」


甘い空気が漂う。

家康の名前を呼んで。
眠気に襲われたように、
閉じていく瞼。


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