第294章 〜ending〜卒業式〜
撮影も終わった頃。
バーンッ!!
教室の扉が勢い良く開いて、私達は全員は音がした方向へと視線を向けると……
「信康くんはどこっ!?」
「築城さん!!」
走り回っていたのか自慢の綺麗な髪は乱れはぁ、はぁと荒い呼吸を繰り返した築城さんが立っていた。
「あ!そう言えば信康くんがいない!」
私がキョロキョロ辺りを見回すと、築城さんは「いないってどうゆう事よ!」って凄い剣幕。
「もう、帰ったのかもよ?式が終わってから全然見かけないし」
「え!でも!まだ写真撮ってないよ!ちゃんと撮ろうねって約束したよ?」
ゆっちゃんに私は信康くんは約束を破るような人じゃないからきっと何処かにいるはずだよと答える。
「信康ならさっき校門前で女子に囲まれてたぞ。……あれはひまり同様、時間が……って。もういねえ」
「……猪みたいに走って行ったよ」
政宗と家康はやれやれって言うように肩をすぼめた。その後も皆んなで最後の教室を満喫するように、自分の席に座ったり、忘れ物はないか確認したりして……
「お世話になりました」
感謝の言葉を述べて、後にする。
「皆んなーっ!打ち上げにカラオケ行こうぜっ!」
「賛成!行く行くーっ!」
(あれ?……今度は家康がいない)
トイレにでも行ってるのかな?
「ひまりーっ!先に外に行ってるよーっ!」
「信康、捕まえといてやる」
「うん!後で行くねーっ!」
遠ざかるゆっちゃんと政宗の背中。
ちょうど角を曲がりかけた時……
二人が手を繋ぐのを見て、
私までなんか幸せな気分になって……
(二人とも本当にありがとう)
記憶のページを無意識にめくる。