第294章 〜ending〜卒業式〜
卒業式___
全校生徒が集まった体育館。
賑やかしい入学式とはまた違って、中は静寂に包まれていた。
一人、一人壇上に上がって……学園長から卒業証書を授与。
「姫宮ひまり」
「はい!」
学園長と言っても……
「……やっと卒業だな」
私からすれば織田先生。去年、副部長や秀吉先輩の時に織田先生が元学園長の息子さんで、現学園長だって知った時は皆んなでびっくり。
(ありがとうございます)
一礼して肘をピンと伸ばして両手で卒業証書を受け取ると、一歩後ろに下がる。
駆け巡ってきた高校三年間。
先生と目があって……
「……っ…………」
涙が溢れてくる。先生には本当に沢山支えて貰った。沢山大切なことを教えて貰った。先生がいてくれたからこそ、今がある。
そんな思いが胸に広がって、私は鼻をすすり上げると、最後に微笑み、くるりと後ろを向いて壇上を下りてゆく。
「本日、戦国学園卒業式を迎えられた皆様、ご卒業おめでとうございます」
送辞……在校生代表の三成くんが壇上に上がって、私達卒業生にはなむけの言葉を送ってくれた。
それから答辞。
「春の訪れを感じるこの良き日、俺達三年生は無事、卒業式を迎えることができました」
下級生や先生に感謝をした言葉。
三年間の思い出。
そして保護者への感謝を述べて……
「この学園に通えたこと。誇りに思います」
最後に私と目があった家康。
私は泣きべそかきながら笑い、それに返事するみたいに家康は微笑むと、一礼して壇上から下りてくる。
「そんなに泣くと。写真撮れなくなるよ」
「ひっく、……う……ん」
もう、私は終始泣いてばっかりで……ハンカチは涙を吸い込みすぎて、重い。
色んな思い出。
楽しいことも辛いことも。
一緒ぐらいあって…………
卒業する喜びと、明日からここの生徒じゃなくなるんだって寂しさに、心はいっぱいに詰まった。