第293章 あなたに何度でも〜エピローグ〜
放課後___
ホームルームが終わって帰りの支度をしていた時だった。
今朝、目が合ったバスケ部のエースの子に突然呼ばれて……
「え?裏庭に?」
「伝えたいことがあるんだ。待ってるから……」
教室の扉が閉まった瞬間。
「ちょっとひまり!告白だって絶対!」
「え?告白??」
「決まってるじゃない!うちの学園のジンクス忘れたの?」
「裏庭で結ばれたカップルは永遠にラブラブになれるんだよ〜」
《ドクンッ!》
ジンクス……。
永遠に……。
今朝の魚座の占い見たよ!って、友達は大騒ぎ。翡翠色の瞳に、ラッキースポットの裏庭!ピッタリじゃないって……。
「ほら!早く行っておいでよ!」
「報告楽しみにしてるよ〜」
皆んなの期待の目に私はう、うんって頷くと鞄を持って教室を出る。
そして裏庭に向かった。
冬の澄んだ空気。
枯れかけた芝部を踏みしめながら、ある一人の背中が見えて近づく。
一歩、一歩。
(何だろう……涙が出そうに……)
何にもないただの裏庭。
その何もないってことに何だか切なくなって、胸が押し潰されそう。
ここには……
とても大切な思い出がある気がして……。
「ひまり……来てくれたんだね」
「う、うん。話って何?」
皆んなに散々冷やかされたから、
ちょっと胸が騒がしい。
それはときめきとかのドキドキじゃなくて……どっちかっていうと騒ぐようなザワザワ。
その正体は分からないまま……
「……ずっと好きだった」
《ドクンッ!》
翡翠色の真剣な目が私を捉えた。