第292章 あなたに何度でも(12)
時間が止まればいい。
あの京都旅行の夜もそう願った。
「いえや……すっ……はぁっ……」
ひまりの不安げな表情。
それが無性に俺の胸を騒がせ、少しでも安心させたくて快楽を与え続ける。
潤った秘部に俺は顔を寄せ、蜜を吸い取り、蕾を舌先に弾けば更に甘い香りが広がって……
「いつもより甘いっ……」
「ひやぁ……あ、っあんっ」
布団の上で両足を開き、片手を床につけて、もう片方の手でひまりは俺の後頭部を掴みながら高みへと登っていく。
「んっ!指はだめぇっ……」
「ほら、脚。……こっちのが気持ちいいでしょ?」
蕾を執拗に愛撫を繰り返した後、溢れ出す蜜を指で掬い取り俺はそれを口元に運ぶ。甘くて熱くて蕩けそう。蜜の甘味で軽く自分を見失いそうになって……
「あっ、あっ…そ、んな奥までっ…」
「ひまりが食べていくんだよ」
指を二本、ナカに入れてぐちゃぐちゃに抜き差しを繰り返す。
「ココだよね?ひまりの気持ちいい所」
「ぁっ!はぁ……んっあっ」
至近距離まで顔を近づければ、ひまりがキスを強請るように両手を絡ませる。
(俺だけのお姫様……)
なのに……
胸に咲いた花。
それが俺が触れるたびに花弁が一枚。
また一枚と散り……
俺の中で焦りが生まれる。
「いえや……すっ……」
ひまりの甘い声で呼ばれると、頭が真っ白になる。
消えないでくれ。
何処にも行かせたくない。
「はぁん……きちゃう……っ」
俺の腕の中にずっといて。
ひまりしかこんな風に愛せない。
「ひやぁっああっぁぁ!!」
大きく弓形になった背中。
自分の欲望を押し止めて、
俺はぐったりと布団に横たわるひまりを抱き起こした。