第292章 あなたに何度でも(12)
胸の先端は張り詰めて、家康の舌先で弾かれふるふると震える。
「ひまり……」
名前を呼ばれる度、小刻みに。
私は後頭部にしがみついて、電流が走るような快感を受け止めてゆく。
「はぁ……んっ。食べちゃだめっ……」
「ここはそうは言ってないよ」
ちゅっ……
家康は先端を口に含んだり、吸ったりしながら私の襟元をガバリと開く。
「綺麗……」
「恥ずかしいから……」
今にも消えそうなぐらい小さな声で訴えた。着物は肩から外され、上半身だけ何も纏わない姿になって……そこに注ぐ視線。
家康の目元がほんのり赤く染まるのが見えて、ドクンッと鼓動が跳ねる。
(そんなに見られたら……)
久々だからかな……凄くドキドキして、視線を感じるだけで私の身体は落ち着いていられないくらい激しい動悸。
そうかと思えば……
(これがもしかしたら……)
不安が一瞬だけ駆け巡り……
私は慌てて浮かびかけた思考を振り払うように、首を左右に振った。するとそれに気づいた家康は私の体を起こして、向かい合うように膝の上に座らせた。
「大丈夫だから……」
「家康……」
「何処にも行かせない」
腕の中に私を閉じ込めて、キスをする。その優しいキスが私の不安を取り除いてくれて……
「側にいるから」
その声が安心させてくれる。
じわりと熱くなる目頭。
床まで伸びた髪。それに不安が全く消えたわけじゃない。
でも、余計なこと考える暇もないくらい……
「やぁっ……だめっ……」
「……ほら見せて。ひまりの全部」
私の身体は家康を求めて、
家康は私を求めていく……。