第291章 あなたに何度でも(11)
すると今度は家康がくすぐったそうにして……片目を閉じた。
私はその表情が愛おしくて堪らなくて……そっと顔を近づければ、それに気づいた家康の顔も近づいてくる。
その瞬間、まるで時間が止まった。
「ひまり……愛してる……」
「私も……大好きだよ……」
どれくらいキスしていただろう。
離れていた時間を埋めるように、角度を変えて何度でも降り注ぐ。
目が合って、また閉じて。
また見つめ合い、どちらからともなく唇を寄せる。
「……儀式しよう」
「儀式を……?」
だからそんな格好をしてるの?
「そう、俺たちのやり方で。正直、どうなるかは分からない。ひまりが普通の女の子に戻れる保証もない」
でも例え天から迎えが来ても、
私がもし消えてしまっても……
「必ず俺は……神になってでもひまりを探す」
「家康……」
そう誓ってくれた。
私はふわりと笑う。
「思い出したの。天女の時の記憶を……三つの新器を集めると運命を……神からの呪縛を断ち切れるって……」
だったら、私は……
「家康のこの左目が元に戻るように……身を捧げます」
永遠に貴方だけに……
隙間ないくらいくっ付いた身体。
おでこもいつもの合図みたいにコツンってなって家康は何故か苦笑い。
「だめ。捧げてもらうのは……そうなっても良い日まで待つって約束したから」
だから、今夜はいっぱい触れさせて。
私はその意味が分かると、
大きく瞳を開く。
「でも、それだと儀式に……」
「だから、俺たちのやり方の儀式」
家康は私を横抱きして、拝殿の奥に敷かれた布団に連れてゆくとそっと寝かせた。