第291章 あなたに何度でも(11)
それを見て一目で永遠の剣だと分かった私は、ぼやけた視界の先で家康の顔を見る。
「これで……儀式が出来る」
「ぎ……しき。……そんなのしないよっ!家康以外に触れられるなんてっ……やだよっ……」
「……大丈夫。俺を信じて」
「家康…………」
私の涙を拭きながら、家康は優しく微笑むと近くに居た翠玉と天鏡に視線を向ける。
「初めからそのつもりだったって訳ね」
「……覚悟はできてるの?」
家康は静かに頷くと、ただ……と口を濁して私を見た。
何だろう……?
そう思った時、石碑の前の影が動く。
「俺らはここですることがある。さっさとその儀式とやらをしてこい」
織田先生に急かされ、私達は急遽拝殿に向かうことに。二人で手を繋いで立ち上がった瞬間、また光が私達の身体を包む。
そして目を開ければ、
拝殿の中に私だけが居た。
「鏡が……」
祠にあったはずの鏡が神棚に飾ってあり、私が思わず近づくと……
「姫、舞のやり方は分かるね。思い出したはずだから」
「まずは、神に身を捧げる舞を踊らないと」
シャランッ。
渡された永遠の剣。
私が手に取れば、まるで体が操り人形になったように自然に動き出す。流れる川のように手は動き、足はくるりと回る。
耳飾りが揺れて、翡翠の指輪が手元を光らす。
シャランッ。
シャランッ。
「これで家康に永遠の愛を誓います」
そう締めくくりのように呟いた時。
拝殿の入り口が開く。
するとそこには……
「家康……」
「ひまり」
白装束を着た家康が立っていた。