第291章 あなたに何度でも(11)
体があったかたい。
何か見えないベールに包まれているような、そんな感覚だった。
そっと目を開ければ……
「……来たか」
「待っていた」
「信康から話を聞いてな。俺らはここで待ってた」
織田先生、明智先生、秀吉先輩。
「ひまりさんは必ず来ると思ってた」
「お前なら記憶を取り戻すってな」
「……信じていましたよ」
佐助くん、政宗、三成くん。
皆んな、石碑の前で立っていて……
「もうすぐ現れるよ」
「……来た」
翠玉と天鏡は私の両隣に立つと、満月を見上げた。
「……ひまり。危ないから気をつけて」
信康くんが私の前に立ち塞がった時。
ゴォォオオオッオオ!!
空が地鳴り、真っ黒な雲が満月を隠す。
「家康っ!!」
私は思わず叫び、オルゴールを胸前に抱くとキョロキョロと辺りを見回して、家康の姿を探す。
やっと会える。
やっと色んなこと聞ける。
そんな思いが私を埋め尽くす。
「お願い!家康に会わせて!」
もう普通の女の子に戻れなくても構わない。儀式をしないと家康の側にいられないのかもしれない。
それでも私は諦めない。
「何度でも私は家康を好きになる!何度だって……」
例え離れても。
どんな遠くの時に引き裂かれても。
私は何度だって家康に恋をする。
ドォォォォォォンッッ!!
その凄い地鳴りの勢いに思わず、目を閉じて、オルゴールを地面に落としてしまった。