第288章 あなたに何度でも(8)
また夢………?
ぽろぽろ……。
涙腺が壊れたように涙が溢れ出す。枕に涙が染み込んで携帯のアラームが鳴り続けているのに……私はまだ目が覚めないようにベットの中に潜り続け、家康のぬくもりを探すようにくまたんを抱きしめた。
この夢の続きの後が凄く気になる。
この後にとても大切なことが……あった気がして……。
(もしかしてこれは天女の時の記憶?)
私は涙が止まると、ベットから起き上がり真っ先に机に向かう。
大切なオルゴール。
それを抱きしめて……
『だぁれだ?』
裏に書いた文字を指でなぞる。
家康の方には私の名前が刻んである。
コトリと机の上にオルゴールを戻して、制服に着替えようとハンガーに手をかけた時だった。
携帯の着信音が鳴り響く。
私はベットに戻り、電話に出ると……
「……信康くん?どうしたの朝から?」
「………ごめん。ちょっと用があって、今日は学校を休むって織田先生に伝えてくれない?」
ちょっとぎこちない喋り方。
多分、この前のことを気にして……。
「うん……。分かった。伝えておくね」
「…………じゃぁ、また」
プツッ。
私はそのまま家康の名前をディスプレイに表示させる。携帯を持っていたらもしかしたら繋がったかもしれない。
時が遠く離れていても……
もしかしたら……
でも家康の携帯は学校の鞄の中に入っていたって、織田先生が確認済み。
でもあの日、信康くんの話では……
ーー石碑に行く前にオルゴールみたいなのをポケットに入れていたのを見たよ。
そう後から教えてくれた。