第284章 あなたに何度でも(4)
「ありがとう……大丈夫だよ。家康もきっと頑張って剣を探してくれてるって思うと、泣いてばかりいられないから」
「ワームホールが現れた日。実は彼から話を事前に聞いていたんだ」
「事前に……?」
「自分が剣を探しに行くと。君の心を強くしてワームホールを呼び起こす。だから、ワームホールが次にいつ出現するか予測できないか?と聞かれたよ」
佐助くんはワームホールは私の心と関係しているから、新月には乱れやすくて満月には満たされやすいって話したみたいで……
「満月の日。家康の誕生日なの。後、信康くんの誕生日でもあって、その日に儀式をするって……」
「……儀式のこと。詳しく聞いた?」
私はその問いかけに首を横に振る。また、後日話すと信康くんに言われた事を伝えると佐助くんは「そうか……」と、少し濁した言い方。
儀式について詳しいのかな?
そう思って尋ねようと思えば……
「ひまりーっ!遅刻するわよー?」
階段下からお母さんが呼ぶと……
佐助くんは学校でまた……
そう言い残して姿を消した。
リビング行くと、お母さんがいつもの様にオムレツを焼いていて……
先生から貰ったお守り。
それをどうしようか悩んでいた。
ーー両親は貴様が二十歳になった時に話すと言っていた。
ーーそうですか……。
ブレザーのポケット。
そこに仕舞ったまま……
「お母さん!今日のオムレツ美味しいね!」
「今日のじゃなくて、今日もでしょ?」
頬張ったオムレツがふわふわで……
「どうしたの?泣きそうなぐらい美味しいの?」
「うん……おいひー!」
幸せなのに……
視界が一瞬だけぼやけた。