第281章 あなたに何度でも(1)
家康が時を越えて永遠の剣を探しに行ってるのなら、私は私に出来ることを探したい。
「儀式は俺の誕生日。徳川と同じ一月三十一日だ。それまでに、心の花……真実の花を元気にすることだよ」
「花を元気に……?」
「こっちにきて」
案内された場所。
それは野外活動で私が羽衣を羽織った祠の前。
「今のひまりには花が見えるだろう?」
「花が……?」
恐る恐る覗き込んだ、鏡。
すると映り込んだ私の胸元にぽわっと赤い花が透けて見えて、不思議な感覚に陥る。
「綺麗な色……でも、何だか枯れそう……」
まるで強い雨に打たれたように花びらがくたっとして、色艶がなく、生き生きしているようには見えない。
「元気にする方法は俺には分からない。ひまりにしか出来ないことだと思う」
(一体どうすれば…………)
自分の胸に触れればじんわりと温かい。
「あれ……そう言えば私、着物を着てる。 一体、誰が…………」
「「俺たちが妖術でパパッとね」」
「えっ!?」
突然、頭上から聞こえた声。
私がキョロキョロと辺りを見回すと、祠の横にある御神木の幹からゆらゆらと尻尾のようなものが見えて……
シュッ。
「「はじめまして、現代姫」」
まるで佐助くんのように目の前に現れ、小学生高学年ぐらいの男の子二人がにしゃりと笑った。
「翠玉、天鏡だよ。二人は狐神で俺の使い魔なんだ」
「は、はじめまして。でも確か石碑の時に……」
見えない壁で閉じ込められた時の記憶を辿る。すると二人はうんうん頷いて、あの時も妖術を使ったんだ!と、得意げに鼻を暗い空に向かって上げた。