第281章 あなたに何度でも(1)
頭がぼっーとする。
体が自由を失ったように重くて、動かせれない。
ここはどこ?
見慣れない天井。
「もう一つの世界だと?」
「はい。徳川家康と契り交わしたことで神は二つの罰を与え、鏡のように二つ存在しています。一つはひまりが戦国姫になる世界。そして今、俺達がいるこの世界……二つの世界は繋がっているようで別物」
「まるで異世界だな」
そんな中、聞こえてきた二つの声。
織田先生と信康くんの声。
二つの世界?
「佐助の仮説はあたっていたか……。つまりひまりは天女であり、戦国姫でもあるという訳か……」
「はい。時を越えて徳川家康と愛し合った戦国姫と、今こうして徳川と愛し合っているひまりもかつては同じ天女」
私が天女……戦国姫?
どういうこと?
何の話をしているの?
声に出したいのに、体の力が抜けて呼吸しているのかいないのかも分からない。
「俺達が宿命ならばひまりは天命とでも言いましょうか。神が与えた命」
(神が与えた命……?)
「貴様は何故そんな事を知っている?」
「……詳しくは言えませんが……前世の記憶。それが断片的にあります」
しかも半分ずつ。
そう言った信康くんの声は悲痛に溢れていた。
「なるほどな……」
「言い伝えでは神は鏡の中で長い年月をかけ真実の花を育てた。何か関係しているのかもしれない。けれど、はっきりとした理由は分かりません」
「では、儀式とは何だ?」
「儀式とは……俺が神になる為に……」
聞きたいことがたくさんあるのに、ピクリとも動かない体に歯がゆさを感じた時だった。